最高裁の調べでは、平成23年1月から平成24年12月までの2年間で、不正事例が判明した事件数は935件、うち被害が特定された906件の被害総額は約81億5000万円。単純計算で毎日1100万以上の財産被害が発生していることになる。判断能力の十分でない高齢者や精神障害者等のために、家裁から後見人等として選任された者がその財産を管理し、本人の権利を守るのが成年後見制度である。高齢者や精神障害者等の財産を守るはずの後見人等がその財産を横領等し、巨額の被害をもたらす不正行為が後を経たないとなると、後見制度の根幹を揺るがしかねないゆゆしき事態と言わざるを得ない。家裁による監督強化や後見制度支援信託の活用等が今後期待されるところである。